人材戦略
経営戦略と連動した「人材戦略」を策定し、人材への積極的な投資を行っています。
人事ポリシー
TISインテックグループでは、「人材」を最も重要な資本と捉え、ビジネス革新や市場創造につながる社員一人ひとりの新たな挑戦を支援するために積極的な人材投資を進めています。企業理念であるOUR PHILOSOPHYで示すとおり、私たちは、価値交換を通して社会の期待や人々の幸せに貢献する「幸せ追求」の社会システムでありたいと考えています。社員が「自発的な貢献意欲」を持ち、プロフェッショナルとしての成果を発揮することで、会社と社員が共に成長し続ける状態を目指します。
担当役員メッセージ

当社グループは創業当初より、お客様のために高品質なシステムやサービスを構築・提供し、安全に運用するというサイクルを基盤として事業を拡大してきました。これらは優れた人材があってこその成果であり、「人材戦略なくして経営は成り立たない」という前提のもと、社員と会社との価値交換性を高め、その人材価値を最大限に活かす組織づくりに努めてまいりました。
昨今、様々な社会課題が複雑化し、産業構造や先端技術も急速に進化を遂げています。私たちは、これまで培った人的資本をさらに磨き上げ、最新のテクノロジーを活用し、様々なプレイヤーとの共創を通して、事業を通した社会課題解決力を高めることが求められています。
中期経営計画における人材戦略では、「フロンティア開拓による高い付加価値を社会に提供し、経済成長と社会課題解決を同時に実現する」ことを重点テーマとしています。SIerとしての成功体験にとらわれず、自由な発想で新たな可能性を模索しチャレンジする人材と、その人材を統合して高い成果を生み出す組織・文化の形成が急務です。
グループ基本理念であるOUR PHILOSOPHYでは、「企業は幸せ追求の社会システムである」と定義されています。当社グループに集う多様な人材が自らのキャリア形成に責任を持ち、私たちが成長と活躍のフィールドを提供します。企業活動を通して社会に貢献する喜びを実感できれば、ITが社会に提供する可能性は無限に広がっていくものと確信しています。
人材戦略推進責任者
TIS常務執行役員 人事本部長 河村正和
人材戦略全体像
当社グループにおいて、人材は価値創出の根幹であり、最重要の経営資本と考えています。
中期経営計画(2024-2026)では、グループビジョンの達成に向けてフロンティア開拓による高い付加価値を社会に提供し、経済成長と社会課題解決を同時に実現する、という目標を掲げました。このためには、人的資本経営をより深化させ、経営戦略と人材戦略の連動性を高める取組が不可欠です。専門性を兼ね備えた人材が高い付加価値を提供できるよう、以下三階層のテーマに対する取り組みを促進します。
●経営戦略と人材戦略の連動

<三層構造のテーマ>
①事業戦略を牽引する先鋭人材の確保
②事業拡大・変化に応じた人材の確保・育成
③多様な人材が活躍しイノベーションを生む風土や文化の形成
①事業戦略を牽引する先鋭人材の確保
グループビジョンで掲げる戦略ドメインは、当社グループが持続的な成長を実現するための付加価値の高い注力事業領域であり、戦略ドメイン比率を如何に高めていけるかが重要課題となっています。中期経営計画(2024-2026)では、高い付加価値を提供し続けるため「課題解決力」「洞察力」「統合力」を有する先鋭人材の確保を重点テーマとして位置付けています。
これまで強化してきた「コンサルタント」に加え、「ITアーキテクト」「高度営業人材」を先鋭人材として定義し、計画的な人材の確保に取り組んでいます。
先鋭人材は、それぞれ「事業とサービスの企画・開発」「役務・サービス提供」「営業・提案活動」のプロセスに関わることで、より収益性の高い事業・サービスの提供、高利益率での案件受注とプロジェクトの完遂を牽引し、戦略ドメイン比率を高めることに寄与します。
②事業拡大・変化に応じた人材の確保・育成
生産人口の減少が急速に進む中、持続的な成長を維持するためには、いかに将来の事業を担う人材を採用し、戦力化を図るかは、経営上の重要課題です。当社グループの基本理念やビジョンに共感する人材を積極的に獲得し、新しいことに挑戦できるフィールドと様々な成長機会を提供します。
③多様な人材が活躍しイノベーションを生む風土や文化の形成
様々な人材が高い貢献意欲を持って他者と協力しながら目標に向かい、自分らしく活躍できる人と組織を作るため、「人材価値に見合った評価・報酬」「ダイバーシティ&健康経営」に取り組んでいます。自発的な貢献意欲は人材戦略の重要指標として位置付けられており、グループ全体で「働きがい満足度」の向上を掲げています。
●人材ポートフォリオの策定
「人材ポートフォリオ」は、事業の成長を継続的に支える人材を確保するため、事業領域ごとに求められる経験やスキル要件、レベルごとの必要人数を可視化したものです。目指す状態に対する現状とのギャップをもとに、計画を策定しています。
人材ポートフォリオでは、これまで強化してきた「コンサルタント」に加え、「ITアーキテクト」「高度営業人材」を先鋭人材として定義し、計画的な人材の確保に取り組んでいます。
●人材の拡充と強みを発揮できる組織風土の醸成
人材ポートフォリオ計画に沿って、「人材開発」「人材配置」「人材獲得」の3つの戦略を連動させ、人材の拡充を進めています。
社員の目指すキャリア形成を支援する学びの機会提供とグループ内での人材流動化を推進し、経験やチャレンジを通して成長を加速します。また、当社グループの価値観に共感し、事業拡大・変化に対応できる人材の採用を進めます。
「持続可能なエンゲージメント」は、社員が自律したプロフェッショナルとして高い貢献意欲を持ち、その強みを最大限に発揮できる職場環境づくりを目指す人材戦略です。社員一人ひとりの自発的な行動を引き出す「人事制度」、多様な人材が自分らしく能力を発揮できる「ダイバーシティ&インクルージョン」、仕事を通して社員のウェルビーイング向上を目指す「健康経営」、それぞれの働く価値観に応じた柔軟な「働き方」について、制度や職場環境の整備を進め、人材の価値を企業価値につなげる企業文化の形成を目指します。
また、上記戦略推進をサポートするシステムや仕組みとして、グループHRDX基盤の整備を進めています。
●「キャリアフレーム」を活用した人材ポートフォリオの可視化

新たなビジネスモデルへの対応と従業員の複線的なキャリア形成を目的とし、TISでは2023年4月より「キャリアフレーム」を導入しました。事業の中期的な目標達成に必要な人材要件、そのレベルや人数をキャリアフレームを用いて定義し、現状とのギャップを把握したうえで、拡充に向けた採用・育成・配置を推進します。
社員は複数の分野で専門性を高め、求められる役割を担うことができるよう、キャリアフレームを活用し、中長期のキャリアを描きます。目指すキャリアは一つに絞らず、いくつかの複線的な道筋で捉え、教育・業務経験などを通して、自らの能力や専門性の向上を図ります。
キャリアフレームの構造
推進体制
人的資本に関する方向性はコーポレートサステナビリティ委員会で議論され、取締役会に報告されます。人的資本に関する施策は経営会議で評価・審議され、取締役会に報告されます。グループ各社では、人事方針に沿った施策の企画・立案を行うとともに、事業組織ごとに設置されたHRビジネスパートナーと連携。HRビジネスパートナーは、各事業の環境や課題に合わせて人材戦略を落とし込み、現場における人材獲得、育成、配置、組織風土改革等、施策の遂行支援・アドバイスを行うことで、事業戦略の実現に貢献します。
●HRビジネスパートナーと事業組織の連携
- 各戦略ドメインの遂行に必要な人材のスキルレベル、専門領域、人数といった要件をキャリアフレーム(※1)を用いて分析し、現状(ASIS)をふまえた「人材ポートフォリオ」(TOBE)を作成。実績を踏まえた見直しを定期的に行い、中長期的な視点で人材の先鋭化・高度化に取り組んでいます。
- 人材の育成・採用・登用・配置については、事業経営トップとHRビジネスパートナー(HRBP) がビジネスや組織の課題を共有し、事業目標の達成を目指して活動サイクルを回しています。
(※1)中長期的な事業戦略を実現するために、会社として必要な人材やそのレベルを明確化したもの


●「人材戦略」を支えるHRDX
- TISでは人材戦略の成果を測り、人材の価値を見える化する「HRDX基盤」の整備に着手しています。HRレポートやTMS(タレントマネジメントシステム)(※2)を通して、データドリブンな経営戦略の遂行、および社員一人ひとりの自律的なキャリア形成を支援します。
(※2)HRレポート:成果指標のモニタリング、データドリブンな意思決定を支援
タレントマネジメントシステム(TMS):人材ポートフォリオと社員のキャリアプランを融合し、社員の自律的なキャリア形成をサポート
人材への投資による付加価値向上
当社グループは最も重要な経営資本である人材に対し積極的な投資を行い、専門性を兼ね備えた人材が能力を発揮できるよう、社員一人ひとりの新たな挑戦を支援しています。人材を成長させ、高い貢献意欲を持ってお客様や社会への価値提供を行うことが、次の人材投資につながります。このような社員と会社の価値交換性を高める好循環を目指します。
人材の付加価値向上の指標を生産性の向上とし、生産性が上がることで報酬も上がり、結果的に「働きがい満足度」が向上することを狙いとしています。

人材に対する投資は、「働く意義」「働く環境」「報酬」の3つの軸で強化しています。中期経営計画では、優位性確立に向けた差別化・集中化のため、人材の高付加価値化と競争力ある報酬水準への投資に重点を置いています。
●働く意義への投資
多様な人材の自発的なキャリア形成と、自律的な行動を引き出す人事制度の整備を進めています。
●働く環境への投資
多様な働く価値観やライフステージに合わせ、働きかたを柔軟に選択できる制度拡充、活力や生産性向上を目的とした職場改善や健康経営に取り組んでいます。
●報酬アップ
競争力のある報酬水準を目指し、グループ全体で賃金の引き上げに取り組んでいます。
人材戦略定量目標
中期経営計画(2024-2026)では、人材戦略の三層構造のテーマ(※)それぞれに対応した施策と指標を設定し、経年で実績のモニタリングと改善対策を進めています。
(※)人材戦略の三層構造のテーマ
- 事業戦略を牽引する先鋭人材の確保
- 事業拡大・変化に応じた人材の確保・育成
- 多様な人材が活躍しイノベーションを生む風土や文化の形成