TIS INTEC Group MAGAZINE

地域企業のデジタル変革を支える広島銀行×TISの共創型DX

MEDIA TIE-UP#05

地域企業のデジタル変革を支える広島銀行×TISの共創型DX

日本経済新聞

日本の地域経済を支える企業は、慢性的な人材不足や人口減少、急速な市場変化など激しい環境と対峙しており、今こそデジタルトランスフォーメーション(DX)による業務やビジネスの抜本的な変革が求められる。ただ、実際にDXに着手し、成果を上げることは容易ではない。この課題に挑むべく、広島銀行とTISは地域企業の現場に根差したDX支援で協業を開始した。両社のキーパーソンに話を聞く。

DXへの「着手」が困難な現状

広島銀行は、地域企業のDX支援に力を注いでいらっしゃいます。竹本さんは地域企業にとってなぜDXが重要とお考えでしょうか。
竹本
地域企業の多くは、慢性的な人材不足に悩まされているという認識です。しかも広島県の場合、人口の流出数(転出超過数)が全国最多レベル(※1)にあり、人材不足の問題はより一層深刻です。
こうした中でも市場の激しい変化に対応していくには、デジタル技術やデータを有効に活用しながら、業務やビジネスの在り方、意思決定の在り方を変えていかなければなりません。実際、経営者の多くが「現状維持では衰退する」という危機感を抱き、DXの必要性を強く感じておられます。一方で、よく聞かれる悩みとして「DXに取り組みたくても、何から取り組めばよいのか分からない」という課題もあります。この迷いから一歩を踏み出せずにいる企業が少なくない印象です。
DXを支援するITベンダーの立場として、TISはDXを巡る地域企業の課題をどのように捉えていますか。
音喜多
竹本さんがご指摘された課題の背景には、DXを推進できる人材の不足があります。DX人材は首都圏の大手企業ですら足りておらず、地域企業ではその傾向が一層顕著です。さらにIT専任の人材を確保できない企業も多く、日常業務に追われる中で、変革に取り組む余力は限られているのが実情です。こうした状況を踏まえると、地域企業においてはDXを自力で推進することは難しく、外部との連携が前提となるテーマだと認識しています。
具体的に、DXが求められる業務領域は何でしょうか。
音喜多
特に経理や請求、決済に関する業務は、多くの紙を扱いアナログな処理が目立つ領域です。業務効率が低下してしまうことはもちろん、データ化されていないために経営状況をタイムリーに可視化できないというデメリットがあります。
竹本
さらに言えば、音喜多さんがおっしゃった経理などのバックオフィス業務は、特定の従業員に長年にわたって依存するケースが多いため、業務の属人化が進みやすいという課題もあります。また、担当者の高齢化に伴う退職などにより、十分な引き継ぎも難しくなってきており、業務の標準化・見える化が急務だと考えています。
※1 ひろぎんホールディングス「広島県の経済・産業(2025年版)」
竹本浩 氏 株式会社広島銀行 執行役員 営業企画部長

ツールの導入がDXではない

昨今はDXを支援する優れたデジタルツールが数多く、中には非常に安価で提供されているものもあります。それでも地域企業がDXを推進するのは難しいのでしょうか。
音喜多
確かに便利なツールは数多く登場していますが、それだけで自動的に業務が変わるわけではありません。だからこそ、当社のようなIT企業はツールを提供するだけではなく、導入後に現場に定着するまで伴走し続けることが不可欠だと考えています。
竹本
経理や決済などの現場は、先述したように長年の慣習や属人化が根強く残っており、単純にシステムを入れただけでは十分に機能しないケースが多く見られます。新たな業務プロセスやルールの整備、人材教育といった周辺の取り組みまでセットで進めなければなりません。特に地域企業では、DX人材が限られているため、自社だけでこれらを推進するのは難しく、外部の専門家やパートナーの力を借りることが不可欠だと感じています。
音喜多
ITベンダーである当社としても、地域事情を深く理解されている広島銀行様のような金融機関や商工会議所、地場のシステムインテグレーターとの連携が欠かせません。こうしたパートナーシップを通じて(顧客企業の)「事業への理解」と「業務への理解」、そして「技術力」を掛け合わせることで、現場に即した実効性の高いDXを実現できると考えています。
DXの推進には、ツールの導入を含めて相応の資金が必要とされます。地域の金融機関が中小企業のDX支援を行う上では、そうした資金面での課題解決につながるような施策も期待されているのではないでしょうか。
竹本
その通りだと思います。中小企業がDXを推進するに当たっては、人材確保や費用面の負担を重荷に感じることがありますので、当行のような地域の金融機関が、各地の自治体と連携しながら、人材育成制度や補助金制度の充実を図っていく必要があると考えています。
音喜多功 氏 TIS株式会社 常務執行役員 デジタルイノベーション事業本部 事業本部長

現場を知るからこそ実現した、「本当に使ってもらえる」サービス

広島銀行とTISは、地域企業のDX支援に向けた具体的なソリューションとして「DX Connect Gate」を共同開発し、広島銀行では「〈ひろぎん〉Smart Fine」に組み込んで提供を始めたと伺いました。このサービスについてお教えください。
音喜多
DX Connect Gateは、経理・決済といった企業活動の基盤となる業務をデジタルでつなぎ、効率化・標準化を実現するサービスです。すでに世の中には、経理業務を効率化するソリューションが市場に数多く存在しています。しかし、請求書受領からその後続の処理まで含めたときに、システムや業務プロセスが分断してしまうことで抜本的な業務省力化が難しいという大きな課題がありました。
対するDX Connect Gateは、請求書の受領から支払処理、仕訳や会計ソフトとの連携までを一貫して支援できる点が大きな特徴です。さらに、単なる業務効率化にとどまらず、リアルタイムで財務状況を可視化する機能を提供し、経営判断を後押しするプラットフォームとしての役割も果たします。
重要なのは、これがTISだけではなく、広島銀行様との“共創”によって磨き込まれた点です。地域企業が日々直面する経理業務の課題感や「実際に使われる仕組み」が、広島銀行様の知見を通じて反映されました。その結果、DX Connect Gateは、現場で定着しやすく、実効性の高いサービスに仕上がったと感じています。
「〈ひろぎん〉Smart Fine」ならびに「DX Connect Gate」のサービス概要
「〈ひろぎん〉SmartFine」ならびに「DX Connect Gate」のサービス概要
竹本
〈ひろぎん〉Smart Fineは、2024年度より新たにスタートしたひろぎんグループ「中期計画2024」に掲げる“地域DXの推進”を具体化する取り組みの一つです。地域企業の業務効率化を後押しし、持続的な成長につなげることを狙いとしています。お客さまの既存環境を生かしつつ、小さく始めて段階的に拡張できるよう設計しているのが大きな特徴で、導入のハードルを下げつつ、効果を実感いただける仕組みになっています。また、Smart Fineは現在が完成形ではありません。「でんさい」の搭載による2027年3月に予定される手形・小切手廃止への対応や、「ファクタリング」などの金融機能追加に加え、決済データを分析して財務アドバイスに生かす仕組みの導入など、今後ますます進化を遂げていく予定です。
さらに、ひろぎんグループ全体として〈地域総合サービスグループ〉を目指し、2025年4月には「DXコンサルグループ」を新設しました。これにより、業務全般にわたるDX化のアドバイスまで対応可能な体制を整えています。「こんなことまで銀行に相談できるのか」と感じていただける存在を目指し、地域企業の皆さまに幅広く寄り添ってまいります。

同じ思いを抱いた2社による理想的な協業

TISとしては、単独でDX Connect Gateのようなサービスを開発し、普及を図るという選択肢もあったはずです。なぜ、広島銀行との協業に乗り出したのでしょうか。
音喜多
最大の理由は、同行が地域の企業にとって「最も身近な相談相手」であり、経営や業務の実情を深く理解されているからです。銀行サービスを提供するだけでなく、地域企業の課題解決と本気で向き合っている姿勢は共感を覚えるとともに、そこに私たちの技術力を掛け合わせることで、単なるシステム提供ではなく現場に届くDXを実現できると考えました。
DX Connect Gateが経理業務の課題に即した実効性の高いサービスになったのも、まさにこの共創の成果です。金融機関ならではの顧客接点や信頼関係と、私たちが持つIT分野の知見を融合することで、導入後の定着や運用にまで踏み込んだ支援が可能になりました。
こうした取り組みは、TISインテックグループの掲げる「グループビジョン2032」にも直結しています。その一つの柱として「コ・クリエーションビジネス」を掲げており、当社グループ単独ではなし得ない領域において、当社と共創パートナーの強みを掛け合わせて新たな価値を創造する取り組みを重視しています。今回の広島銀行様との協業も、その象徴的な事例の一つだと位置付けています。
広島銀行としてはTISをDX推進のパートナーとして選んだ決め手は何だったのですか。
竹本
TIS様が金融業界で豊富な実績を持つIT企業であり、そのシステム開発力に全幅の信頼が置けたこと、加えて「DXを通じて地域企業の業務改革に貢献したい」という当行と同じ思いを抱いていたことが理由として非常に大きかったです。
さらに、TIS様のグループには全国規模の税理士ネットワークを持つ日本ICS社もあり、システム面に加えて現場に近い知見やチャネルを生かせる点も大きな魅力と感じました。お客さまの課題解決を共に進める上で、 技術力と現場力の双方を兼ね備えた頼もしいパートナーと考えています。

広島での取り組みを全国展開し、日本企業全体の変革へ

Smart Fineに対する市場の反応や今後の展望をお聞かせください。
竹本
想定以上に良好です。本部の〈ひろぎん〉Smart Fine専門チームの元には、営業店の法人担当から支援要請が相次いで寄せられており、地域のお客さまからの期待の大きさを実感しています。
広島県で活動する企業の大多数は中小規模になります。地域経済の活性化には、こうした企業の成長が不可欠であり、当行は「お客さまのためになるサービス」の提供を基本姿勢としてご支援を行ってまいりたいと考えています。現在は、営業店に目標を課す制度を撤廃し、営業店自らがお客さまのために考え行動する体制となっており、お客さまの真のニーズに沿ったサービスをご提案する姿勢が「何でも広島銀行に相談してみよう」という意識の醸成につながればと考えています。
同じ志を持つTIS様のようなパートナーと、引き続き地域企業や地域社会の発展に貢献していきたいと思っております。
最後に、音喜多さんにお伺いします。広島での取り組みを踏まえ、今後は全国の地域企業にも共通する課題にどう向き合い、さらなる展開と地域社会への貢献をどのように進めていかれるお考えでしょうか。
音喜多
TISとしても、広島銀行様との協業を通じて、地域の課題に深く根差したDXの在り方を具現化できたと感じています。実際にDX Connect Gateはリリース直後から広島エリアにとどまらず、他の地域の金融機関や企業からも多数のお問い合わせをいただいており、同様の課題意識が全国に広がっていることを実感しています。
こうした反響を背景に、私たちは広島での取り組みをモデルケースとして、全国各地の金融機関やパートナーとの共創を広げていきたいと考えています。地域企業がDXの一歩を踏み出しやすい環境を整え、日本の経済全体を力強く支えてまいります。
日本経済新聞にて取材・掲載されたものを当社で許諾を得て公開しております。
2025-︎09-22 日本経済新聞

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