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TISとQuantum Mesh、液浸冷却技術を活用し、AI基盤事業での協業を開始
~AI時代におけるデータセンターの高負荷化に対し、液浸冷却技術の活用で運用コスト抑制と高効率化にアプローチ~

2025年10月22日

TIS株式会社
Quantum Mesh株式会社

TISインテックグループのTIS株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:岡本 安史、以下:TIS)とQuantum Mesh株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:篠原 裕幸、以下:Quantum Mesh)は、Quantum Meshが提供する分散型エッジデータセンター※1や液浸冷却システム「KAMUI」を活用したAI基盤サービスの開発・展開を目的とし、2025年10月より協業を開始することを発表します。

エンタープライズ向けの豊富な開発・運用実績と国内最大級のデータセンター網を持つTISおよび分散型エッジデータセンター・液浸冷却システムに関する高い技術力を持つQuantum Meshは、双方の強みを活かし、GPUサーバー需要の増大やデータセンターの高負荷化・電力コスト高騰といった課題に対応するAI基盤サービスを共同で展開します。2025年11月頃から、液浸冷却システム「KAMUI」のファーストユーザーとなる企業とともに、液浸冷却システムの運用や追加開発機能などの検証を目的としたPoCを実施します。その成果を踏まえ、2026年夏頃より両社のデータセンターをハイブリッドで活用し、社内データを活用したAIモデル構築や業界・業務特化型LLM構築といった幅広いニーズに対応可能なAI基盤サービスの提供開始を目指します。

今回の協業における事業構想イメージ

今回の協業における事業構想イメージ

※1 大規模な中央集約型データセンターではない、コンテナ型の小規模なデータセンター

背景

企業によるAI活用は、業務効率化や新規事業の展開を目的に近年急速に拡大しています。AI活用には画像処理装置を搭載した高性能なGPUサーバーが必要となり、企業からの需要は年々高まっています。こうしたAI活用向けのデータセンター需要の増加に伴い、高性能GPUサーバーをデータセンターで預かるハウジングサービス市場は、2029年までに年平均成長率73.1%※2で推移し、急速な市場拡大により5年間で約15倍になると予測されています。一方、高性能GPUサーバーは稼働時に多くの電力を消費し、発熱量も大きいため、高効率な冷却システムの導入が求められます。今後、AI活用が進むにつれてデータセンターの負荷はより増大する見込みであり、従来の空調システムでの冷却に加え、水冷や液冷といった高度な冷却技術の発展が期待されています。特に液浸冷却は、冷却効率の向上と電力使用量の削減を実現し、データセンター運用コストの抑制に直結する注目度の高い技術です。

TISは、東京都心に延床面積約20,000㎡の都市型の最新鋭データセンター「東京第4データセンター」を保有しています。免震構造と最新設備を備え、エンタープライズを中心とした幅広い顧客基盤にサービスを提供しています。豊富な開発実績・運用力を持つ一方、AI時代に備え、データセンター事業のさらなる付加価値向上と、AIを活用したサービスを軸とした新規顧客の獲得強化が急務となっていました。

Quantum Meshは、分散型エッジデータセンターの開発と運営を行うスタートアップ企業です。2025年3月には、GPUサーバー自体を冷却液に浸し、サーバーから発生する熱を吸収する仕組みを採用した液浸冷却システム「KAMUI」を開発し、国内で初めて商用化しました※3。高効率かつセキュアなサービスアセットを保有する一方、市場拡大に対応するための体制強化や展開力の向上が課題でした。

こうした背景を踏まえ、TISとQuantum Meshは、データセンターの高負荷化や電力等のコスト高騰といった課題に早期に対処し、冷却効率の向上と運用コスト削減を両立させる「高効率なAI基盤サービス」の早期提供を目指し、今回の協業に至りました。

※2 富士キメラ総研「データセンタービジネス市場調査総覧2025年版」
※3 2025年3月10日時点。Quantum Meshが実施した液浸冷却方式を用いたコンテナ型データセンターの業界調査による

協業の概要

今回の協業では、以下の取り組みを検討します。これにより、AIのトレーニングや推論に最適で高効率なAI基盤サービスの提供を目指します。

  • TIS・Quantum Meshのデータセンターをハイブリッド活用した新サービスの共同開発・提供
  • 分散型エッジデータセンターおよび新サービスの共同保守・運用
  • 分散型エッジデータセンターの共同での設置拡大
  • 液浸冷却システム「KAMUI」の販売・共同開発
  • セキュアデータ基盤のサービス展開

PoCの概要

2025年11月頃から約6ヶ月にわたり、液浸冷却システム「KAMUI」を活用したAI基盤導入・運用検証に向けたPoCを実施する予定です。今回は主に以下の項目を検証し、その結果をもって新サービスの本格的な開発・提供へと移行します。

PoCの実施スキーム

PoCの実施スキーム

PoCでの検証観点

提供価値の検証
  • 顧客利用形態とサービスレベルの整合
  • 顧客ニーズの把握と追加必要機能の確認
技術の検証
  • 実際の顧客利用に対する液浸冷却システム運用の実証
  • 分散型エッジデータセンターおよびGPUサーバーを前提としたSI導入プロセス、運用の確認
  • サービス継続性

新サービスの概要

AIを活用したサービスを展開する事業者や社内でのAI活用を検討する事業者、業界・業務特化型AI研究に取り組む事業者向けに、業務効率化や事業展開を支援する高い効率性や利便性を持ったAI基盤サービスの開発を予定しています。また、AIエージェント時代を見据え、セキュアなプライベートAI学習ニーズに対応するため、企業ごとの用途に応じてTISの東京第4データセンターとQuantum Meshの分散型エッジデータセンターをハイブリッドで活用できる体制の構築を目指します。

AI基盤のハイブリッド提供例

AI基盤のハイブリッド提供例

今後について

今回の協業における第1フェーズとして、TISの東京第4データセンターとQuantum Meshの分散型エッジデータセンターをハイブリッドで利用可能とすることで、TISが提供する「デジタル基盤オファリングサービス」のラインアップとしてオファリング型のAI基盤サービスの提供等、企業のAI活用ニーズへの対応や共同でのサービス開発を推進します。その後は、分散型エッジデータセンターの共同展開や、液浸冷却システムの共同開発についても検討を進める予定です。

液浸冷却システム「KAMUI」について

「KAMUI」は、Quantum Meshが独自開発した閉鎖循環式の単相液浸冷却システムです。サーバー自体を冷却液に浸しサーバーから発生する熱を効率的に吸収する仕組みになっています。この液浸冷却システムでは、一年を通じて14~18℃と安定した温度である地下水とサーバーの発熱によって温まった冷却液を熱交換することでサーバーを冷却します。その冷却に必要な電力は、従来の空調による冷却方式と比べて1/10以下に抑えられ、データセンター全体としてはPUE1.03~1.04という世界最高水準の効率を実現しています。

「デジタル基盤オファリングサービス」について

ITサービスの立ち上げやITインフラのモダナイズを検討する企業のニーズに応じて、アーキテクチャの最適化やデジタル基盤・サービス基盤の構築、運用管理までを提供するサービスです。TISが長年の運用実績を持つ「インフラ基盤」、サービスの企画から開発・運用までを一気通貫でサポートする「サービス基盤」、先進テクノロジーに習熟した「サービスアーキテクチャコンサルティングチーム」の3つを最適な形に組み合わせて提供することで、企業がアプリケーション開発へ専念できる環境の実現や、インフラ運用にかかる負荷の軽減を目指しています。

詳細は以下URLをご参照ください。
https://www.tis.jp/service_solution/digital-infrastructure-offering-service/

TIS株式会社について(https://www.tis.co.jp/

TISインテックグループのTISは、金融、産業、公共、流通サービス分野など多様な業種3,000社以上のビジネスパートナーとして、お客さまのあらゆる経営課題に向き合い、「成長戦略を支えるためのIT」を提供しています。50年以上にわたり培ってきた業界知識やIT構築力で、日本・ASEAN地域の社会・お客さまと共創するITサービスを提供し、豊かな社会の実現を目指しています。

Quantum Mesh株式会社について(https://quantummesh.jp/

Quantum Mesh株式会社は、情報の安全な保護と計算処理を担う可搬型データセンターを開発・運用しています。流通する大量の情報資産を世界レベルの高度なセキュリティで保護し、高度な計算能力で有効に利活用できる環境を提供。また、データセンターを起点としたAI・IoTによる未来の街づくりを提案、「正しいDX」の実現を目指しています。

本件に関するお問い合わせ先

報道関係からのお問い合わせ先

TIS株式会社 企画本部 コーポレートコミュニケーション部 三輪
E-mail:pr@tis.co.jp

Quantum Mesh株式会社 広報部 戸所
E-mail:todokoro@quantummesh.jp

本取り組みに関するお問い合わせ先

TIS株式会社 デジタルイノベーション事業本部 PAYCIERGE総合窓口
E-mail:paycierge@ml.tis.co.jp

Quantum Mesh株式会社
E-mail:info@quantummesh.jp

※ 記載されている会社名、製品名は、各社の登録商標または商標です。
※ 記載されている情報は、発表日現在のものです。最新の情報とは異なる場合がありますのでご了承ください。

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更新日時:2025年10月22日 11時0分