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人材採用(T&I)

秋里

技術を軸に全社横断で活動するT&I本部の歴史・将来展望
エンジニアにとっての魅力的な活躍フィールドに迫る

テクノロジー&イノベーション本部(以下:T&I)は、2009年の前身部門の創設以来、TISにおける全社横断型のエンジニアリング専門組織として、社内の開発力向上や技術者のキャリア形成に取り組み続けています。
今回はT&Iの本部長と採用責任者へのインタビューを通じて、TISにおけるT&Iのミッション、これまでの歩み、TISやグループ全体に対して実施している施策や取り組み、生成AIを中心とする今後の注力ポイント、さらにはT&Iで描けるキャリアの魅力などについて語ってもらいました。

  • #アーキテクト
  • #テクノロジー&イノベーション本部
  • #Fintan
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CROSS TALK MEMBER

  • 執行役員
    テクノロジー&イノベーション本部 本部長

    林 由之 1994年入社

    証券業界へのシステム営業に携わった後、一度TISを退職して再入社した経歴を持つ。復職後は金融系・クレジットカード業界の開発案件、および新たなサービスモデルの企画推進を担当。人事本部 本部長職を経て2025年よりテクノロジー&イノベーション本部 本部長に着任。

  • テクノロジー&イノベーション本部
    テクノロジー人材採用マーケティング室 室長

    秋里 美和 2003年入社

    T&Iの母体組織でエンジニアとしてキャリアをスタート。金融系システム開発の開発リーダ・アーキテクトリーダを経験。社内でさまざまな事業領域を経験した後にT&Iへ戻り、2019年よりエンジニア組織のマネジメント職に着任。現在は本部の採用責任者として技術人材の採用を新卒・キャリア採用両軸から推進中。

Chapter

T&Iは「技術を大切にする」というTISの
DNAを体現したユニークな組織

はじめに、TIS全社におけるT&Iの位置付けについて教えてください。


T&Iは技術を軸として、TISおよびTISインテックグループ全体を対象に活動する全社横断の組織です。エンジニアリング専門組織としての歴史は古く、今より15年以上も前から活動をスタートし、一貫して社内の開発力向上や技術者のキャリア形成のための取り組みを推進してきました。

現在はエンジニアだけでなく、デザイナーや研究者、社内システムのスペシャリストなどを加えた約200名の組織として活動し、TIS/TISインテックグループの既存事業、新規事業、未来の事業に対して専門スキルを発揮しています。

その中でもエンジニアたちは、全社のさまざまな事業部門と協業して開発に取り組んでいます。具体的には事業部門から要請を受けたプロジェクトに対して、アーキテクトやフルスタックエンジニアなどが技術リードを担う役割として参画しているほか、難度の高い案件についてはT&Iのメンバーがチームを組んで開発業務を担います。

なぜ、TISにT&Iのような技術を軸にした横断型組織が生まれ、長年にわたって活動できているのでしょうか?


T&Iは「技術を大切にする」というTISのDNAを体現したユニークな組織です。T&Iのような全社横断型のエンジニアリング組織は、本来どのようなIT企業・SIerでも必要なファンクションですが、実際にT&Iのような組織を運営できているIT企業は非常に珍しいと考えています。なぜならエンジニアはIT企業にとっての生命線であり、多くの企業では売上を持っている縦の組織(事業部門)に所属させておこうとする力学が働くからです。

そのようなハードルを乗り越え、TISでT&Iのような全社横断型のエンジニアリング組織が受け入れられている理由は、T&Iを立ち上げた前任者たちの強い思いがあったことに加え、TISが「技術を大切にする」というDNAを持った会社であることが大きいと考えています。

T&Iの立ち上げやその後の歩みについて教えてください。

秋里
アーキテクトおよびその候補生となるエンジニアを集約してさまざまなPJの適材適所に配置する編成はTIS内の金融系部門の中で2001年頃から活動を開始していました。しかし、大型プロジェクトの始動などさまざまな社内事情の影響を受け、一時的にはシュリンクしていました。その後2009年には、TISの主力事業であるクレジットカード系の事業部を横断して活動する形で組織が復活します。この組織の中でTISが大規模・ミッションクリティカルシステムの開発の中で得たナレッジを詰めこんだ独自開発フレームワーク「Nablarch(ナブラーク)」を開発し、Nablarchを用いた開発やソフトウェア開発の生産性・品質向上を目指した様々な技術施策を掲げ、事業部を横断して活動していました。

そして2013年にはその活動が全社化し、全社を横断するエンジニアリング組織化として、「アプリケーション開発センター(ADC)」が発足します。ADC発足以降は、あらゆる事業部との開発協業や生産性向上を目的とした協業開発・技術施策に加え、全社に対する技術研修や技術系インターンシップの企画など、人事部門と連携しながら技術者の育成・採用領域にも活動の幅を広げていきました。

技術人材の登用施策・横連携には長年取り組んでおり、2014年には、全社のさまざまな事業部に所属する優秀なアーキテクトを選出する「事業部アーキテクト」制度、2015年には特定の技術領域のスペシャリストを任命する「TechLead」制度、さらにその中でも随一の活動実績を誇るTISを代表するアーキテクトとして選出されたメンバーで構成する「Advisory Team(アドバイザリーチーム)」を立ち上げました。これらを通じて、TISおよびTISインテックグループにどこにどのような専門性を持つ高度な技術者が存在するのかが全社から明確になりました。個々人にとっては、技術について会話ができる横の繋がりが形成されたことや、全社視点で開発施策やシステム開発PJに対して自身の技術力を持って意見ができる/技術問題に起因するPJの課題を未然に防ぐことが出来るなど、技術者としての満足度・貢献感にも繋がっています。

ADCに更なるミッションの追加を経て、T&Iは2019年に発足したのですが、全社の技術力をうまく連携し共有していくための制度・仕組みの立案や運用については、現在に至るまで継続して推進しています。

Chapter

社内に分散する人・技術・ノウハウを集約し、
連携や共有を推進

T&Iが、全社あるいはグループに対して実施している特徴的な施策・取り組みなどがあれば教えてください。

秋里
SIerであるTISにとって、ソフトウェア開発における生産性と品質の向上は永遠の最重要課題ですが、そのための方針の1つとして私たちは生産性と品質の向上には「再利用性を高めること」が必要であると考えています。

T&Iでは、再利用性の高め方として「Ready-to-use」「Know-how」「Know-who」という3つの定義を掲げています。「Ready-to-use」とは、完成品・半完成品・部品・自動/自働・プラットフォームなど、言葉の通りそのまま利用できるものを指します。「Know-how」は、事例・サンプル・ルール・ガイド・テンプレート・研修といった“形式知”の再利用であり、「Know-who」は、QA・相談・支援・協業・ジョブローテーションなどによって広がっていく“暗黙知”の再利用を意味しています。

この3つの再利用の高め方のうち、「Ready-to-use」「Know-how」の推進を目的に立ち上げたのが、2018年から運用を開始した「Fintan(フィンタン)」です。「Fintan」は、TISが開発業務の中で培ってきた技術ノウハウを集約したWebサイトですが、オープンイノベーションの考え方に基づいて運営しています。そのためTIS社内やグループ内だけでなく、誰もが閲覧できるサイトとして広く一般の方々にも公開しており、研究成果やプロジェクト推進のプラクティス、成果物のテンプレートやサンプル、各種開発ツールなど、さまざまな部品やノウハウを無償で提供しています。

「Know-who」の“暗黙知”の再利用については、どのような施策を展開されているのでしょうか?

秋里
「Know-who」に関しては、技術ナレッジ共有サイト「canal(カナル)」の運営が挙げられます。「canal」は、グループ社員やパートナー企業の社員が自由に利用できる技術Q&Aプラットフォームであり、「canal」を通して所属部門の垣根を越えて、技術相談ができます。ここでも先に触れた事業部アーキテクトやTechLead、Advisory Teamのメンバーが率先して回答してくれるプロセスが定着しているため、質の高い回答を得ることが出来ます。また、質問・相談~返答の一連のテキストコミュニケーションが全グループ社員に見える形式で蓄積されるため、「QAがナレッジとして蓄積される」「誰が何を知っているのかを知ることができる」など、グループ内に存在する“暗黙知”を可視化するプラットフォームとして機能しています。

技術革新が目覚ましく、新たな技術が次々と登場する近年はさらに高度なレベルでの「Know-who」が重要であると考えており、2022年より「組織横断型ITアーキテクト相互支援体制(活動PJ名:UNIITA(ユニータ))」という組織横断型コミュニティの運営も行っています。事業部アーキテクト、Advisory Team、TechLeadをはじめとする社内の優れた技術者同士が、組織の枠を超えて横のつながりを作れるような場を定期的に設けることで、新しい技術への取り組みや難易度の高い技術課題に対してITアーキテクトやスペシャリストたちが相互にサポートし合って取り組める人的ネットワークの醸成を図っています。

Chapter

AI時代に求められる技術者の定義・育成、
人材ポートフォリオを検討中

全社横断の技術組織としてさまざまな活動を続けてきたT&Iですが、今後の方針や注力テーマについては、どのようにお考えでしょうか?


人とノウハウの両面で社内の技術力を集約し、高めていくというT&Iの基本方針が変わることはありません。ただし、時代の流れと共に方向転換が不可欠となりつつある分野も存在します。それは、皆さんもご存知の生成AIの分野です。

早晩、人間に代わってAIがプログラムを書く時代が訪れるはずです。もちろん、プログラマが100人集まっただけではシステムを開発することができないように、AIがどれだけ難解なプログラムを書けるようになったとしても、AIのみでシステムを作ることは難しいでしょう。しかし、たとえそうであったとしても、プログラミング技術を高める活動を続けてきたTISにおいては、大きな方向転換が必要となります。

具体的には、どのような方向転換が必要になるのでしょうか。


T&Iが生成AIに関して取り組むべきテーマは、大きく分けて2つあります。1点目はAIを活用した開発手法の確立であり、2点目はAI時代に求められるエンジニア人材の定義と育成です。1点目は開発手法やツールの話なので、難しい課題ではあるものの、やってやれないことはありません。本当に難しいと考えているのは2点目のテーマです。今後、生成AIを活用してシステムを開発・提供していくにあたり、必要となる人材像を明確にしていくこと。こちらのテーマの方がより難解であり、より重要になるだろうと考えています。

なぜ、人材像を明確にしていくことが難しいのでしょうか。


短期的には人が担うべきことはより上流へシフトしていく、技術者層であれば様々な技術やスキルを持つフルスタック・多能工な人材が活躍するであろうことが仮説として考えられます。しかし中長期的に言えば、現時点ではどんな人材が必要になるのか分かっていないのです。これはTISに限った話ではありません。この問題に対する明確な回答を持っている人は、まだ世の中にいないはずです。

まず前提として、生成AIが今後どこまで進化していくかが分かっていません。また、私たちがAIを使ってシステムを開発するだけの話であればイメージも付きやすいのですが、AIによってお客さま側の業務が変わっていく可能性もあり、その変化に関する幅や量が予測しづらいのです。これらの予測については、どのようなIT企業も苦労しているところだと思います。

「要件定義→設計→開発→テスト」というシステム開発の工程の中で「プログラムを書く開発のフェーズをAIが代替し、要件定義や設計に関しては引き続き人が担当する」という考え方があることも事実ですが、それはあくまでも一般論に過ぎません。今後のAIの進化によっては、要件定義などお客さまと直接やり取りをする工程まで代替できるようになる可能性もあります。そうなると「要件定義→設計→開発→テスト」という既存工程の変更や再構築を検討しなければならないなど、まだまだ正解が見えていな状況です。

それでも私たちは、AIの進化やAIがもたらすお客さまの変化を想像しつつ、人事とも協力しながら全社におけるAI時代の人材ポートフォリオ戦略や採用戦略を構築していく必要があると考えています。

また、当然ながらすべてがAIにシフトしていくわけではありません。TISは金融系を中心に、24時間365日止められないような基幹システムもお預かりしており、そのようなシステムは先ほどお話しした「Know-who」で開発・運用されている領域も少なくありません。そのため、そのような“暗黙知”を有する人材やノウハウを適切な形で集約・継承していくことも、私たちの重要なミッションであると考えています。

「AIを活用した開発手法の確立」と「AI時代に求められるエンジニア人材の定義と育成」について、具体的に進めている施策や活動があれば教えてください。

秋里
AIを活用した開発手法の確立については、T&I内の開発基盤センター 生成AIイノベーション室が中心になって現在進行形で注力しているところです。こちらの成果はFintanで随時公開していく予定ですので、ぜひウォッチしていただきたいです。また、それら確立した手法をTISのシステム開発現場で率先して活用していくのは、T&Iにおいて他事業部との協業を担うデザイン&エンジニアリング部のメンバーです。今後はT&I内のほとんどのメンバーが何らかの形で生成AIに関わることになると思います。


AI時代に求められる人材の定義や人材ポートフォリオ戦略については、T&IだけでなくTIS全社の有識者や組織長などとも対話を重ねがなら検討を進めている状況です。

Chapter

あらゆる事業領域で活躍し、
技術を軸にしたキャリアを歩める環境

T&Iに所属するエンジニアは、どのような領域で、どのような活躍ができますか?

秋里
全社横断組織であるため、TISに存在するすべての事業領域をフィールドとし、幅広い技術領域や、さまざまな規模感のプロジェクトを経験することが可能です。Webアプリ・モバイルアプリを主とする開発の中で、プレイングリードもしくはアーキテクトとしてチーム・プロジェクトを技術で牽引していく役割を経験いただけます。技術を軸にプロジェクト内・他部門・顧客・市場など幅広い領域に影響を及ぼすことが出来るフィールドだと思っています。

T&Iの組織的な特徴、その中で描けるキャリアやエンジニアの成長イメージについても教えてください。

秋里
TISではマネジメントとスペシャリストに大別されるキャリアパスを用意していますが、T&Iでは開発技術のスペシャリストを志すメンバーが圧倒的に多いです。本部内にはAdvisory Team、TechLeadに任命されているハイスキルなエンジニアも多数所属しています。有志による勉強会開催なども盛んで若手からベテランまでのメンバーが互いに切磋琢磨しながら成長できる環境が整っています。

個人的には、若手エンジニアが社内Slackでふと呟いた技術的な行き詰まりを先輩社員たちが「あれは試したか?」「この設定はどうなっている?」「ログを見ろ」などまるで入れ食い (笑) のように手を差し伸べている様子が、T&Iらしさだなと感じています。技術のプロフェッショナルでありながら、相互に助け合うマインドが組織に根付いているので、新卒入社の若手もキャリア採用で入社してくださった方も自然と皆そういう姿になっていきますね。
また、メンバーを評価するリーダ・マネージャーたちも技術者経験を持つ者揃いなので、技術視点での成果・プロセスについても技術者目線による評価が得られるというのもT&Iの特徴かと思います。


一般的なIT企業などでは、事業部門に所属するエンジニアが技術リードやエンジニアリングを担っていますが、事業部門の中では技術的な仕事ばかりをしているわけにはいきません。それに対してT&Iは技術に特化した横断型組織として存在しているため、常に技術的な仕事に携われるなど、技術志向のエンジニアにとって魅力的なフィールドが整っていると思います。

T&Iで活躍できるのは、どのような技術やマインドを持ったエンジニアだと考えていますか?

秋里
Webアプリやモバイルアプリの開発経験をお持ちの方、特にアーキテクチャに関わる部分を経験されている方は即戦力として活躍いただけます。しかし技術革新が目まぐるしい昨今だからこそ、現状のスキル・経験を活かすだけでなく、新しい技術を主体的にキャッチアップし、業務に活かすことを楽しめるような方が活躍しやすいと思います。

また、TIS・T&Iで目立った活躍をしているエンジニアの多くは「ソフトウェア開発を通じたビジネス貢献」を考えて仕事に取り組んでいる印象があります。ソフトウェア開発や技術習得そのものを目的化するのではなく、「技術を通じてお客さまのビジネスに貢献したい」「自分の技術を活かして組織に良い影響をもたらしたい」というマインドを持っている方が向いていると感じます。

最後に、T&Iで働くことに興味を持たれている方々へのメッセージをお願いします。

秋里
15年以上の長きにわたってTISの全社横断技術部門として培ってきた組織文化のもと、若手からベテランまで、さまざまなキャリアを持つ技術者たちが和気あいあいとした雰囲気の中で働いています。
割合としては新卒入社者が多いですが、キャリア採用で様々な業種で技術を研鑽してこられた方がコンスタントにご入社いただいています。
多様な経験則をもつ技術者の中で切磋琢磨したい・技術を軸としたキャリアを歩んでいきたい方と考えてくださる方とご一緒したいですね。ぜひT&Iをご検討いただきたいです。


一定以上の規模感の会社では技術特化でのキャリア構築が難しい傾向もありますが、T&Iは技術に特化したキャリアアップを実現できる稀有な特徴を持った組織です。
開発現場はもちろん技術施策や技術教育の推進など、技術軸で活躍していただける様々なフィールドを一組織内で有するところも独自性がある組織と自負しております。
技術を足がかかりにキャリア構築したい方、業界内外で名を知られるようなトップクラスのエンジニアを目指したい方、ぜひT&Iにお越しください。

※所属、職名等は、インタビュー当時のものです。